2023年版|労働者派遣法改正と今後注目したい3つのポイント
労働者派遣法は、法が施行された1986年から現在までの間に、幾度となく改正されています。
この法律は派遣労働者を守るためにあり、人材派遣に携わる企業は順守しなければなりません。
また関連する内容として、労働基準法や育児介護休業法など、さまざまな法律にも対応する必要があるでしょう。
本記事では、労働者派遣法の重要なポイントと共に、新たに改正された制度についてもお伝えします。
目次
労働者派遣法とは「派遣労働者を守るための法律」
労働者派遣法の正式名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護などに関する法律」です。
先述した通り、労働者派遣法は派遣労働者を守るためにあります。
近年施行された法改正の中では、正規社員と派遣労働者との賃金格差・福利厚生など、派遣労働者の待遇改善を定めた「同一労働同一賃金」などがよく知られているでしょう。
労働者派遣法改正の歴史
労働者派遣法が施行されたばかりのとき、労働者を派遣できる業種は、専門知識・技能を必要とする13職種に限られていました。
その後、時代と共に労働者派遣の対象職種は拡大します。
・1986年:労働者派遣法が制定される
・1996年:対象業務を26業務に拡大
・1999年:派遣対象業種の拡大
・2000年:紹介予定派遣解禁
・2004年:製造業務への派遣解禁・派遣期間延長
・2012年:派遣法改定(事業規制の強化)
・2015年:派遣法の改定(労働者派遣時事業を許可制・派遣期間の上限3年に統一)
・2020年:働き方改革(同一労働同一賃金)
・2021年:派遣労働者へ説明義務の強化
労働者派遣法|関連する3つの法律とポイント
労働者派遣法では「労働者派遣の期間制限」「同一労働同一賃金」「派遣労働者への説明義務の強化」など、派遣労働者の働き方を見直す改革が行われてきました。
働き方改革推進の一環として、労働基準法など、その他の労働関連法も改正が進んでいます。
人材派遣に携わる企業は、次に挙げる新しい制度も注視しなければなりません。
・時間外労働・割増賃金率について(労働基準法)
・給与のデジタル払い解禁(労働基準法)
・育児休業の取得状況の公表を義務付け(育児・介護休業法)
以降、上記の3点について説明します。
派遣労働者の時間外労働について(労働基準法)
時間外労働とは、1日8時間(週40時間)の法定労働時間を超えた労働時間を指します。
労働基準法の改正により、中小企業の割増賃金率も引き上げられ、現在は大企業・中小企業ともに「月60時間を超える時間外労働に対し50%以上の割増賃金」の支払いが義務付けられました。
残業管理については、こちらの参考記事もご覧ください。
◆働き方改革による「残業管理」の影響は?残業時間(36協定)を適切に管理するために | 派遣管理システム グッジョブ
給与のデジタル払い解禁(労働基準法)
労働基準法第24条では、原則として労働者に対し「賃金を直接、通貨(現金)で支払う」と定めています。
実は、現在ほとんどの人が利用している銀行口座への給与振り込みは「労働者が同意した場合」に認められた例外です。
今回新たに「給与デジタル払い」という支払い形態が解禁されました。
給与デジタル払いは、銀行振り込みに同じく例外的な支払い方法で、いわゆる○○Payといったキャッシュレス決済アプリ(資金移動業者)を利用するものです。
参考:
資金移動業とは、銀行などの預金取り扱い金融機関以外の者が為替取引を生業とし、○○Payなどキャッシュレス決済アプリを営む業者のこと。
給与のデジタル払い解禁のポイント
給与のデジタル払いの解禁には、以下の条件を満たす必要があります。
1.厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者に限る
2.給与のデジタル払いを行うため労使協定の締結を行う
3.給与のデジタル払いを行うため、労働者の同意を得る
派遣労働者の育児休業取得について(育児・介護休業法)
育児・介護休業法の改正により、従業員が常時1000人を超える企業を対象として、育児休業の取得状況を公表することが義務付けられました。
公表する内容は、男性の「育児休業取得割合・育児休業などと育児目的休暇の取得割合」です。
対象となる企業は、男性の育児休暇を取得しやすい環境整備や制度活用の促進に努めなければなりません。
別途、年次有給管理簿の記事も公開していますので、こちらも併せてご覧ください。
◆「年次有給休暇管理簿」の作成・管理方法|保存期間や義務・罰則も解説! | 派遣管理システム グッジョブ
労働者派遣法に違反した場合
労働者派遣法の違反は、派遣元企業はもとより派遣先企業も行政処分や罰則の対象となるケースがあります。
派遣労働者の期間制限
派遣労働者の期間制限とは「派遣先の同一の事業所で派遣可能期間を超えて派遣就業することはできない」というものです。
もちろん派遣先企業でも、派遣可能期間を超えた派遣労働者は受け入れられません。
いわゆる「3年ルール」の適用です。
◆参考記事:派遣法の3年ルールをわかりやすく解説|派遣社員が延長して働くには
労働者派遣法に違反したらどうなるか?
労働者派遣法に違反し悪質と見なされた場合には「企業名の公表」「業務停止命令」「許可の取り消し」などの行政処分を受ける可能性があります。
労働者派遣法に違反した事例
労働者派遣法の違反となるケースを紹介します。
・派遣が禁止されている業務(適用除外業務)への派遣
・無許可や名義貸し(借り)などで人材派遣を行った場合
・労使協定の虚偽報告や未報告
・二重派遣
・派遣労働者の期間制限を超えた派遣
・派遣労働者に対し就業条件を明示していない場合
・行政の指導や改善命令に従わない場合
派遣で禁止されている業務に関しては、次の記事も併せてご覧ください。
◆派遣の禁止業務とは? 禁止の理由と例外や罰則を解説! | 派遣管理システム グッジョブ
法改正に合わせ正しく・素早く対応!人材派遣管理には「グッジョブ」
労働者派遣法は、働き方のニーズや時代の背景にあわせて改正されていますが、人材派遣に携わる企業にとって、頻繁に行われる法改正は頭の痛い問題です。
かと言って、新しいルールや義務など、法律を正しく把握していなければ労働者派遣法に違反してしまいます。
雇用人数が増えるほど、派遣社員の情報管理が複雑になりますが、社内の派遣労働者を管理する仕組みを見直し、いつでも法改正に対応できる余裕を持ちたいものです。
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