労働者派遣契約書の保管期間はいつまで?
必要書類・記載事項も紹介
日本では人材不足が深刻化し、年々人材派遣を利用する企業が増加しています。
この背景には少子高齢化のほか、企業側が適正な人材を見つけられないことなどが挙げられます。企業によっては、人件費のコスト削減として、繁忙期だけ人材を確保したい思惑もあるでしょう。
そこで本記事では、人材派遣を利用する派遣先企業様に必要な情報として、派遣契約に関する書類の保管期間や記載事項などを紹介します。
目次
派遣契約に関する書類とは
労働者派遣契約における契約当事者は、「派遣元企業と派遣先企業」「派遣元企業と派遣労働者」の組み合わせに分けられます。
ここではそれぞれの契約書について、概要を解説します。
派遣元企業・派遣先企業間の契約書
派遣元企業と派遣先企業の間で取り交わされる契約書には、「労働者派遣基本契約書」と「労働者個別契約書」があります。
「労働者派遣基本契約書」
労働者派遣基本契約書とは、派遣元企業と派遣先企業での取引上必要な約束事が記載されている契約書です。
労働者派遣基本契約書は法的に必要なものではなく、あくまで派遣元企業と派遣先企業間の合意により締結されるものです。
労働者派遣基本契約書で締結される項目の例を挙げてみました。
・派遣社員の派遣期間・賃金・業務内容・支払い条件
・派遣元企業と派遣先企業間における、人材派遣に関わる個人情報の保持や禁止事項などの確認
・事故や事件などの損害賠償問題が発生した場合の取り決め
「労働者個別契約書」
労働者個別契約書は、労働者派遣法により法定記載事項が義務付けられている書類で、具体的な労働条件が記されます。
労働者個別契約書の記載例は、以下の通りです。
・人材派遣にあたっての派遣社員の人数
・派遣社員の就業場所・業務内容・派遣期間
・派遣社員の就業日数(時間)・休憩時間・残業時間
・派遣社員の衛生面・安全面の確保
派遣元企業・派遣労働者間の契約書
派遣元企業(雇用主)と派遣社員の間では、「就業条件明示書」と「労働条件通知書」が作成されます。
就業条件明示書の作成は労働者派遣法で定められているもので、労働条件通知書の作成は労働基準法で義務付けられているものです。
就業条件が雇入れ時点と派遣先決定後で変わる場合は、その都度訂正・変更箇所を明示し、派遣社員に通知しなければなりません。
派遣先管理台帳
派遣先管理台帳には、勤怠管理をはじめとした派遣社員の詳細が記されています。
派遣先管理台帳に必要な記載内容の例は、以下の通りです。
・派遣社員の氏名
・派遣元企業の事業所の代表者名・事業所の所在地・事業所の名称
・派遣先で就労する業務内容
・派遣社員の就業日や勤務日数(時間)・遅刻早退など
派遣先管理台帳の勤怠管理項目は、タイムシートなどを使用した日々の管理が必要となります。
派遣先管理台帳は項目が多く、管理には多大なコストがかかります。人材派遣を利用する派遣先企業の負担は大きいものです。
派遣先企業様は、正確で時間短縮に繋がる勤怠管理システムなど、外部のツールやサービスを利用すると業務の負担を軽減できます。
派遣先管理台帳については、当サイトのコラムで詳しく解説しています。
あわせてこちらの記事もぜひお読みください。
◆派遣先管理台帳の作成・保管・通知方法を解説!フォーマットもご紹介
派遣契約に関する書類の保管義務・保管期間
派遣契約の種類には、派遣元企業と派遣先企業で行われる「企業間契約」と、派遣元企業と派遣社員間の「雇用契約」があります。
それぞれの契約は現状書面で交わされているため、派遣社員を多く採用する企業ほど、増え続ける書類の保管や管理が課題です。
膨大になってゆく契約書と関連書類ですが、保管期間の決まりや保管義務はあるのでしょうか。
ここでは、労働者派遣基本契約書・個別契約書・派遣先管理台帳について調べてみました。
労働者派遣基本契約書の保管義務・保管期間
労働者派遣基本契約書は、現行の労働者派遣法において保管を義務付けていません。
ただし企業間の認識・前例確認やトラブル防止などのためにも、派遣社員の雇用契約書と一緒に保管することをおすすめします。
労働者派遣個別契約書の保管義務・保管期間
労働者派遣個別契約書も労働者派遣基本契約書と同様に、現行の労働者派遣法では保管の義務はありません。
しかし労働者派遣個別契約書には、派遣社員の個別契約内容などが記載されています。
派遣社員の契約内容を確認するなど、後から書類が必要とされるケースもありますので、労働者派遣個別契約書も派遣社員の雇用契約書と一緒に保管するとよいでしょう。
派遣先管理台帳の保管義務・保管期間
派遣先管理台帳の保管期間については、労働者派遣法での定めとして派遣終了日から3年間の保管義務があります。
派遣先管理台帳の保管期間内にも関わらず台帳を廃棄・紛失してしまうと、罰則を受ける場合もあります。
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労働基準法の改正により、雇用契約書の保管期間は3年から5年に延長されました。
雇用契約書だけを考えても書類の保管量はかなりのものですが、派遣先企業は賃金台帳・雇入れ関係書類・健康保険・雇用保険など、他にも保管を義務付けられた書類があります。
人材派遣を多く利用する派遣先企業様は、契約書や付随する書類の保管に悩まされていることと思います。
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