労働時間となる・ならない時間|移動・休憩は勤務時間に含まれるのか
労働者派遣業において重要な労働時間。「労働時間は実際に働いている時間」と考える方も多いのではないでしょうか。私どもも、派遣先企業の皆様から「待機時間や勤務前の準備は労働時間にあたるのか」とご質問をいただくことがございます。しかし、労働基準法では労働時間を「使用者の指揮命令下にある時間」としているものの、明示しているわけではありません。
本記事では、どのような内容が労働時間になるのか、ならないのかを項目別に紹介しながら解説しますので、派遣先企業の皆様はぜひご参考ください。
目次
労働時間とは
労働時間とは、就業場所で勤務している時間から、休憩時間を引いた実労働時間を指します。
労働者は職務から離れ自由に使える時間として、休憩時間を保障されており「1日の労働時間が8時間以内の労働者には、休憩時間を45分以上与える」ことが定められています。
また労働時間により、与えられる休憩時間は異なります。
労働時間かどうかの判断と考え方
基本的に労働時間は「使用者(派遣先企業)の指揮命令下にある時間」を指し、労働者の自発的な残業や自宅での持ち帰り業務は、労働時間にならないケースがあります。
労働時間の特例
就業場所で仕事をしている時間だけを労働時間というわけではありません。
特例として、以下のような場合も労働時間とみなされます。
- 使用者(派遣先企業)や上司から出社(帰社)の指示がある場合
- 業務上の重要書類の監視や金品の運搬
- 使用者(派遣先企業)や上司と同行する場合
労働時間とみなされる具体例
労働時間には実際の業務以外のことが多く関わってきますが、労働時間とみなされるのはどのようなケースか、具体例を挙げてみました。
準備・後片付け
就業先の事業所内における業務の準備・後片付け時間は、指揮命令下と判断され労働時間に該当します。
なお労働者が準備や後片付けなどを自発的に行うケースについては、これを労働時間とするか、派遣先企業の就業規則などで明確にする、または派遣社員に対し個別に指示するとよいでしょう。
朝礼・ミーティング
朝礼・仕事の引継ぎ・ミーティング・点呼などは、業務上必要な業務として、労働時間に該当します。
手待ち時間
待機時間のことを「手待ち時間」と言いますが、これも労働時間になります。
具体例を以下に紹介しますが、待機している時間は、業務に素早く対応するための準備時間と考えてもよいでしょう。
- 店員がお客様を待っている時間
- 仮眠時間(警備やビル管理などの夜勤勤務)
- 輸送や運搬など荷物の搬出入における待ち時間
着替えなど
就業先企業で、作業服・防護服・企業専用制服などの着替えが義務付けられている場合、着替え時間は業務上必要な準備として労働時間に該当します。
一般事務員の着替えに関しては、制服を着用しない場合もあるため、労働時間とならないケースがあります。
昼休憩時の電話当番
昼休憩時の電話番や来客の対応については、厚生労働省は「業務にみなされる」と判断しています。
掃除・清掃
事業所などの掃除・清掃については、使用者(派遣先企業)から時間・場所など、掃除に関する管理・指示があれば労働時間とみなされます。
ただし自発的に行う掃除は、使用者(派遣先企業)の指揮命令下ではないため、労働時間とみなされません。
勉強会・研修
勉強会や研修に参加する時間は、基本的に労働時間とみなされます。具体的には次のようなケースがあるでしょう
- 勉強会や研修への参加指示がある場合
- 勉強会や研修に参加しなければ、業務上必要な情報・知識・スキルが得られない場合
◆関連:派遣社員の「教育訓練」義務化!実施の内容や手順を解説
健康診断
一般健康診断は事業者に実施義務があり、健康診断の受診にかかる時間の賃金については労使間協議で定めるべきとされています。
そのため厚生労働省では、一般健康診断で受診に要した時間に対して「賃金を労働者に支払うことが望ましい」と表現しています。
労働時間とみなされない具体例
ここでは労働時間にみなされないケースについて紹介します。
労働時間に該当するか、しないかを判断する基本的なポイントとしては「使用者(派遣先企業)の指揮命令下にあるか」を考えるとわかりやすいでしょう。
通勤・移動時間
通勤時間は使用者(派遣先企業)の指揮命令下ではなく、個人の自由な時間が含まれるとされており、労働時間になりません。
通勤時間は使用者(派遣先企業)の指揮命令下ではなく、個人の自由な時間が含まれるとされており、労働時間になりません。
出張先への往復にかかる移動時間についても、労働時間にはならないと考えられています。
また遠方などへ宿泊する出張も、移動や宿泊に対する時間は労働時間とみなされません。
休憩時間
就業先での休憩時間は、先に述べたように労働者に保障される権利です。
休憩時間は個人の自由な時間であり、就労しないため労働時間に該当しません。
自宅待機
自宅待機は自宅という「場所」に拘束されますが、待機中は時間を自由に使えるため、前に述べた手待ち時間とは扱いが異なります。
自宅待機時間は、個人の自由時間が含まれるため労働時間にみなされません。
持ち帰り残業・朝残業・自主残業
残業と名の付くものでも、労働時間に該当しないケースとして、持ち帰り残業・朝残業・自主残業などがあります。
持ち帰り残業・朝残業・自主残業などは、多くのケースにおいて、仕事量やスケジュールを適切に調整すれば避けられるでしょう。
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どのような時間が労働時間に該当するか、しないかについては、これまでお伝えしてきた通り「業務上、使用者(派遣先企業)の指揮命令下にあるか」で判断できます。
また実労働以外であっても、業務に関連した時間とあれば、労働時間として扱われるケースがあることも覚えておくとよいでしょう。
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