派遣社員の評価は派遣先企業が行う? 派遣料金にも影響はあるか
先日、派遣先企業様より「派遣元企業から派遣社員の評価を求められた」という疑問の声が届きました。
派遣社員の評価について、「労使協定方式なのにどうして」「派遣元企業が評価することでは」と思っていませんか。
派遣社員の評価は、派遣社員の賃金を決める重要なポイント。実は派遣元企業だけの問題ではありません。
派遣社員の評価と派遣料金について説明しますので、人材派遣の利用をご検討中の企業様も、ぜひご覧ください。
目次
派遣社員の評価義務について|派遣社員の評価と賃金見直しの法的な義務
労働者派遣法では、業務内容・スキル・経験などにより、派遣社員を公平に評価して派遣料金を決めるよう定めています。
派遣先企業の役割と影響|労使協定方式と評価責任
派遣社員の待遇を決める方式は、「均等・均衡方式」と「労使協定方式」の二つ。
均等・均衡方式は、派遣先企業の通常の労働者を基準として、労働者の待遇を均等・均衡に決定するものです。
労使協定方式とは、派遣元企業が労働組合と「待遇に関する労使協定」を結び、労働者の待遇を決定するもの。
◆【2020年4月】派遣先がすべき待遇情報の提供【労働者派遣法改正】 | 派遣管理システム グッジョブ
労使協定方式は、派遣元企業が主導となり派遣社員の待遇を決める方式ですから、派遣先企業様が「派遣社員の評価は派遣元がするもの」と考えても無理はありません。
しかし派遣元企業で行う労使協定方式は、派遣社員の評価を公正に行い賃金に反映する方式。
派遣先での就労実態を知りえない派遣元企業のみで、派遣社員を正しく評価するのは困難です。
同一労働同一賃金ガイドラインでは、派遣社員の待遇について、福利厚生や教育訓練といった賃金以外の面でも待遇格差をつけないよう定めています。
派遣元企業は派遣社員の待遇格差を是正するためにも、派遣先企業の評価協力を求めているわけです。
◆派遣社員の同一労働同一賃金、何が起こる?―次年度に向けた賃金、派遣料金の見直しはあるのか―
派遣料金と評価の関連性
労使協定方式では、派遣社員の賃金を同業種の一般労働者の賃金水準以上とする決まり。
ただし前述した通り、派遣社員の賃金は労使協定方式だけで決定されません。
適正な派遣料金の確保
労働者派遣法では派遣元企業に対し、派遣社員の評価を年に1回行うこと、また賃金を見直すこと、待遇を改善することを求めています。
そして派遣元企業は、派遣社員の賃金を「一般労働者の賃金水準」と「評価」で計算します。
この「評価」が派遣社員の賃金を決める大きな役割。例えば派遣元企業では、派遣社員の勤怠状況を把握できます。
しかし派遣社員が派遣先でスキルアップしたこと、経験値を積んだことなどは、派遣先企業からの報告があって初めて評価できるようになります。
このように派遣社員の評価には、実際に就労している派遣先企業の協力がなければ分からない点も多いのです。
労使協定方式では派遣元企業ごとに賃金・待遇差が生じる
労使協定方式では、派遣元企業が労働組合と話し合い、派遣社員の待遇を決定します。
つまり労使協定方式を採用するということは、契約を結ぶ派遣元企業ごとに派遣社員の賃金が異なる可能性があるということ。
もっと分かりやすく言えば、複数の派遣社員が同じ仕事をしているのに、それぞれ派遣元企業が違うので、結局賃金にばらつきが生じるかもしれないというわけです。
労使協定方式を採用した上で、賃金のばらつきを回避するためには、厚生労働省が発表している職種ごとの賃金テーブルを参考にし、できる限り賃金の調整・統一ができるよう対応するといいでしょう。
なお賃金テーブルの情報を見ると、スタートから1年の経過で約16%、3年の経過で約31%賃金が上がっています。
また厚生労働省のQ&Aには、「評価は公正に行われるべきで、賃金が上がらない(または下がる)ことが前提で行われてはならない」と記載があります。
適正評価ではないと判断され、労使協定を履行できていない場合には、均等・均衡方式への切り替えを促されるでしょう。
労使協定方式による評価の重要性と注意|システムの導入もおすすめ
労使協定方式では派遣社員の賃金を決定するにあたって、派遣先企業の賃金水準にあわせる必要がありません。
派遣社員にとっては、派遣先が変わっても賃金が下がらないメリットがあります。
しかし派遣先企業の視点では、派遣社員のスキル・経験値などが向上することで、派遣社員の賃金アップ分の人件費が増えてしまうということでもあります。
そのため派遣先企業では、派遣社員を適切に評価しない(虚偽の評価・情報を提供する)、また派遣元企業へ評価協力を怠るといったケースが見られます。
派遣先企業には以下の配慮義務があり、配慮義務を怠ると違反として指導・助言の対象となるため注意してください。
・派遣労働者の待遇確保のための派遣料金に関する配慮
・派遣労働者の職務遂行状況等の情報提供
派遣先企業で複数の派遣会社を利用する場合、派遣元企業ごとに賃金テーブルや評価項目が異なり、人材管理にコストがかかるでしょう。
このようなときは、派遣人材の管理や評価がスムーズに行える派遣管理システム「グッジョブ」のご利用がおすすめです。
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