グッジョブコラム 2021.11.16

派遣先企業に対する労働局調査の指導率が高いのはなぜ?

最近、派遣先企業への厚生労働省・労働局の調査が多くなったようです。一体何故なのでしょうか。また調査の結果派遣先企業への指導率がどのくらいあるのか、そもそもなぜ指導率が高くなっているのか、原因を分析した上でこれから採るべき対策を解説いたします。
調査・指導を受けることで想定外の業務に追われ、本来やるべきことに支障を来たさないよう、しっかりと対応していきましょう。
 

【目次】

調査数が最近急に多くなっている理由

2020年度の派遣先企業への指導率は「72.6%」

なぜ指導率が「高くなった」のか

管理業務のシステム化が指導率低下に効果あり

調査数が最近急に多くなっている理由

 
■調査件数が最近多くなっている理由
1点目は新型コロナウイルス感染が落ち着きだした、ということがあります。よくある話として、労働局調査は法改正前後が多い。と言われています。改正前は、「これまでの法律に準じて派遣運営できていたか」。改正後は、「新しい法律に準じて派遣運営できているか」を見るためです。ただ、2019年後半から新型コロナウイルスが流行し始めたことから、20204月、2021年1月・4月の法改正前後のタイミングでは、感染リスクの問題もあり立ち入りの調査というのが積極的にできていなかったようです。現在は、比較的感染者数も落ち着いてきていることから、積極的に入る方針のようです。
2つ目は、派遣先企業と派遣会社では調査数に5倍近く開きがあることから、派遣先への調査を強化してほしいと嘘か誠か派遣会社から要請があったようです。(あくまで噂程度にご認識ください
 
■2020年度の派遣先企業への指導率は「72.6%」
労働局が2020年度に行った「労働者派遣事業に係る指導監督実施件数」によりますと、派遣先企業2,148件のうち、文書による指導を行ったのは1,560件。およそ72.6%の確率で指導が行われました。対する派遣元企業は11,614件のうち、文書による指導を行った件数は6,140件。およそ52.4%という結果となっていることを鑑みても、派遣先企業への指導率の高さがおわかりになると思います。
【参照資料】https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000644109.pdf
 
「そもそもなぜ、派遣先企業が労働局の監督を受けなければならないのか」と疑問を抱く企業様もいらっしゃるかもしれません。その背景として人材派遣業が免許の必要な許認可事業である、という点を念頭に置かなければなりません。人材派遣業は派遣法によって細かな取り決めがあり、それぞれの項目に不備がないことが前提となっています。これは派遣元である派遣会社はもちろん、派遣社員を受け入れる派遣先企業も法令を遵守しなければならず、調査を行うにあたっても派遣元と派遣先の両方を見なければならないのです。
 
また、さまざまな法令の中でも派遣法は改正される頻度が比較的多く、20204月にも派遣社員の同一労働同一賃金に関する改正が行われたばかりです。派遣契約に関する書類への記載事項や通知事項、対応義務などが大幅に追加となりました。また、202111日の施行においては、派遣契約書の電磁的記録作成が認められたり、派遣先企業における派遣社員からの苦情処理についても強化されたりと、調査においてさまざまな調査ポイントがあると考えられます。それでは、指導率を上げる大きな要因はどこにあったのか、代表的な例を挙げてみたいと思います。
 
■なぜ指導率が「高く」なったのか
先ほど、派遣元である派遣会社に対する指導率が52.6%と紹介しました。ここの数字に対し、ちょっと違和感を覚えた方もいらっしゃると思います。実はこの数字こそ、派遣先企業の指導率を上げている大きな要因の一つ。労働局の調査が入った際、派遣会社は主要な派遣先に関する帳簿を提出しなければなりません。この提出した帳簿に指導が出たということは、派遣先側の書類にも不備がある可能性がグンと高まります。その結果、派遣先企業にも調査が入り、芋づる式に指導率が上がってしまうことになるのです。そもそも50%を超える指導率は、派遣のプロとして考えると決して低い数値とは言えず、むしろかなり高い数値ではないかとも考えられます。
 
そして、派遣先企業と派遣元企業との関係もまた、指導率を上げている要因があります。派遣法は高頻度で改正が行われていることは先にも触れましたが、実は不定期で行われています。こうした情報を派遣先企業の担当者が常に把握できていればいいのですが、実際には派遣管理をほかの業務と兼任していることも多く、結果的に自分たちでは処理しきれていないところがほとんどです。そこで派遣のプロである派遣元企業に依存することになるのですが、肝心のところで不備が発生しているので、必然的に派遣先企業への指導も増えていくのです。
 
法改正の情報を最新にアップデートすれば問題ないのですが、現状は派遣先企業にはチェック機能がほとんどありません。古い情報のままで派遣元企業に依存しているからこそ、書類の不備に気づかない。そのような悪循環に陥っている現状、果たしてどのようにして打破していくべきでしょうか。

 
■管理業務のシステム化が指導率低下に効果あり
まず、根本的な解決法として、最新の派遣法に対応できる新しい管理体制の構築が必要です。しかし、従来のやり方を踏襲するようでは余計な業務が発生しかねず、これまで以上にマンパワーに依存する形となります。そこでお勧めするのが、管理業務のシステム化。派遣元企業に依存することなく、法改正によって生じる書類上の不備にアラートが働くシステムを導入すれば、担当者が新しい知識を習得する時間も、通常業務にも負担をかける必要もなくなります。
 
弊社が20214月にリリースした「ハケンマネジメントシステム グッジョブ」は、同一労働同一賃金が導入されることをきっかけに、派遣元と派遣先との間で行われるさまざまなやり取りをクラウド上で一元管理できるシステムです。リリースから1年半で1,000社を超える企業様に導入していただいておりますが、これまで労働局の調査が入ってはいるものの、指導を受けたという報告はいただいておりません。
 
これは派遣法改正に対してリアルタイムで対応できる上、派遣先・派遣元企業双方で管理を行うことが可能になったため。不備が発生した際に自動的にアラートを受けられるので、派遣会社だけに依存することなく、派遣先企業の担当者もシステム上での対応を行うことで指導を回避しているのです。
 
こうしたメリットを享受するにあたり、自分の会社がどのような状況にあるのか。厚生労働省から発信されている「自主点検表」でご確認しましょう。その上で解決すべき課題について、グッジョブがどれだけ効果を発揮できるか。ぜひ私たちへお気軽にご相談ください。
 
【参考資料:自主点検表(厚生労働省)】
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/news_topics/jyukyuuchousei_020824.html

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