派遣先管理台帳の一部「就業状況報告書」の保管方法
派遣社員の採用が決定した場合、派遣先・派遣元企業にて労働者派遣個別契約書・労働者派遣個別通知書・雇用契約書・管理台帳などの書類を作成しなければなりません。
多くの派遣社員を受け入れる派遣先企業にとって、派遣社員別に数々の書類を作成・管理するのは大変なことですよね。
派遣元企業に各書類を作成いただいている派遣先企業も多いかと思います。
企業の重要な戦力となる派遣社員に、長く安心して働き続けてもらうためにも、派遣先企業・派遣元企業は派遣社員の情報を適切に管理し、派遣社員の待遇を守る必要があります。
そのために重要な書類として、今回は派遣社員の賃金に直接関わる派遣先管理台帳や就業状況報告書等について解説していきます。
目次
派遣先管理台帳の管理と就業状況報告書
派遣社員の給料は、日払い・月払いなど契約条件により異なりますが、多くの場合、時間給で計算されています。給料を算出するには、派遣社員の就労時間を正しく記録しなければなりません。
そこでポイントとなるのが、派遣社員の就業状況報告を兼ねた書類、派遣先管理台帳です。
ここからは、2020年4月の労働者派遣法改正で一部の記載が変更された派遣先管理台帳について、改めて内容を確認していきましょう。
派遣先管理台帳とは
派遣先管理台帳とは、派遣先企業が作成する書類の一つで、派遣社員別に労働日・労働時間・業務内容など、派遣社員の就労実態を記すものです。
この書類は、派遣先企業から派遣元企業へ「派遣社員の就労実態を報告する」ための重要な管理資料となります。
また派遣先企業には、派遣先管理台帳について、派遣元企業へ通知する義務があることも覚えておくとよいでしょう。
◆参考:派遣先管理台帳の作成・保管・通知方法を解説!フォーマットもご紹介
就業状況報告書とは
前述した通り、派遣先管理台帳には派遣社員の就労実態を記載する必要があります。ただし就労実態の記載については、特に記入様式が決まっていません。
具体的にはタイムシートを利用する、出退勤時間を記入する等の方法があり、別紙として就業状況報告書を添付してもよいことになっています。
就業状況報告書の保管方法
派遣先管理台帳に就業状況報告書を添付する場合、その書類は派遣社員一人ひとりに対して作成し、労働局に提出することとなります。
では派遣先企業は、派遣社員の個人情報や就業の実態を記入した書類をどのように保管すればよいのでしょうか。
就業状況報告書は派遣先管理台帳と一緒に保管する
就業状況報告書は派遣先管理台帳の一部として3年間の保管義務があり、保管期間は派遣社員の「契約終了日から起算して3年間」と定められています。
しかし多数の派遣社員を抱える派遣先企業にとって、何年も関連書類を保管するとなると、書類の量や保管スペースは膨大なものになってしまうでしょう。
この課題を解決すべく、今多くの派遣先企業では、派遣社員に関連する書類整理を紙からデータに移行するところも増えてきました。
データの取り扱いについては、データ消失や個人情報の漏洩などに十分注意しなければなりませんが、この機会に派遣社員の情報管理をデジタル化・システム化してもよいでしょう。
就業状況報告書の提出が遅れたとき
派遣先管理台帳の中には、労働局に報告する書類が含まれています。
これらの書類について、報告の義務を怠る、毎回報告が遅れるなどした企業には、労働局から指導されるか、改善命令を受けることがあります。
さらに悪質な企業と見なされると「事業停止令」や「事業廃止命令」の重い措置が取られるため、注意しましょう。
就業状況報告書に改ざんがあった場合どうなるか
就業状況報告書に改ざんがあった場合は、派遣先企業・派遣社員の双方に罰則等が課されます。
罰則等の詳細をまとめましたので、こちらも参考にしてください。
- 派遣先企業:残業時間など、就労時間を過小に改ざんした場合は、残業代未払いとして扱われます。割り増し賃金の支払いを求められる、または悪質と判断された場合には、懲役や罰金などの制裁が課されます。
- 派遣社員:残業や遅刻・早退などで賃金が減らないよう不正を働いた場合は、詐欺罪が適用される場合もあります。
派遣先管理台帳の通知方法
労働者派遣法では、派遣先企業に対し「派遣先管理台帳」の一部の記載事項を派遣元企業へ通知する義務を定めています。
具体的には、派遣先企業は派遣元企業へ、派遣社員の氏名・就労場所・就労時間業務内容などを報告しますが、その方法はいずれも書面の郵送か、メールやFAXでの通知となります。
また派遣社員と直接雇用の社員の情報を同じシステムで管理しているケースでは、就労先企業名(事業所)・勤務地(所在地)・部署や業務種類などが通知漏れとなる場合もあるため、念のため事前に確認することをお勧めします。
◆参考:派遣先管理台帳の作成・保管・通知方法を解説!フォーマットもご紹介
派遣先管理台帳と就業状況報告書を正しく管理する
派遣先管理台帳と就業状況報告書は、派遣社員の雇用管理上とても大切な書類です。
これらの書類は派遣社員の給料を決め、派遣社員との賃金トラブル等を発生させないためにも、しっかりと管理しなければなりません。
ただし派遣先企業は派遣先管理台帳のみでなく、派遣社員の契約書等から評価・勤怠などのデータまで、幅広く情報を取り扱う必要があるでしょう。
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