2023年4月より中小企業も対象に!!60時間を超える残業の割増率50%以上へ
2019年4月より働き方改革の一環として、労働に関する様々な法律が改正されてきましたが、2023年4月以降は「法定割増賃金率」の一部が改正されます。
法定割増賃金率を大まかに説明すると、残業に対していくら割り増して賃金を支払うかを決める基準のことです。
雇用に関するコストや労働時間は、派遣先企業様・派遣元企業様どちらにも関わる大切な内容ですから、ぜひこの記事を参考にしてください。
目次
2023年4月から引き上げ!「法定割増賃金率」
今回解説するのは、2023年4月以降の時間外労働に関わる労働基準法の変更についてです。
早速、法定割増賃金率とは具体的にどのようなものか、またその変更について詳細を確認していきましょう。
割増賃金率とは
「割増賃金率」とは、法定労働時間を超えて働いた従業員に対して、通常より割増した賃金を支払うために割り出す指標です。
企業は、労働者に時間外労働・休日労働・深夜労働をさせたとき、労働基準法37条で定められた通り、割増賃金を支払います。
■参考:労働時間には「所定労働時間」と「法定労働時間」があります。
労働時間の詳細や残業(時間外労働)の定義に関しては、こちらの記事で解説しています。 |
労働基準法改正による「割増賃金率の変更点」
2022年7月現在の労働基準法では、以下の通り法定割増賃金率を定めています。
- 1か月間で60時間を超える時間外労働をさせた場合、超えた時間外労働分は法定割増賃金率を「50%以上」とする
ただしこれは大企業に対するもので、現状、中小企業については上記ルールに猶予期間が設けられており、当該割増賃金率を25%以上に努めることとされています。
しかし2023年4月からは、中小企業の場合でも、法定割増賃金率を「50%以上」にしてゆかねばなりません。
次項では「割増賃金率が適用される時間外労働」を確認していきましょう。
割増賃金率が適用される時間外労働
時間外労働・休日労働・深夜労働それぞれのケースにおける、法定割増賃金率をまとめました。
重ねてのアナウンスとなりますが、2023年4月以降は中小企業であっても「時間外労働が1ヶ月60時間を超えるケース(*1)」の法定割増賃金率は50%以上となります。
違反時には罰則も
時間外労働が規定の時間を超えているにもかかわらず、法定割増賃金率で定められた割増賃金を支払わなかった場合には罰則があります。十分に注意してください。
- 罰則:6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金
【2023年4月~】割増賃金率の計算方法
ここからは、割増賃金の計算方法をお伝えします。
前提:給与の例と1時間あたりの賃金(割増賃金算定基礎額)
今回の計算には、前提としてこちらの給与例・1時間あたりの賃金(割増賃金算定基礎額)を使用します。
計算に使用する給与の前提
割増賃金を求める前に、計算の前に、給与の前提
計算に使用する「割増賃金算定基礎額」の割り出し
割増賃金を計算するためには、あらかじめ次の通り「1か月の平均所定労働時間」を求めてから、『1時間あたりの賃金(割増賃金算定基礎額)』を算出しておきます。
■1か月の平均所定労働時間
(365日-年間休日122日)×8時間÷12か月 =1か月の平均所定労働時間…162時間 |
■1時間あたりの賃金
(総支給額230,000円-除外賃金・手当20,000円)÷1か月の平均所定労働時間162時間 =1時間あたりの賃金…1,296円 ※この計算では、上記の表にまとめたように除外される賃金・手当があるため、これを差し引いています。 |
割増賃金率の計算例
それでは、2023年4月以降、法定割増賃金率が引き上げられたときを想定して、時間外労働・休日労働・深夜労働の割増賃金がどのようになるかを考えてみましょう。
ここでは具体例として、時間外労働の「時間外労働が1ヶ月60時間を超えたシーン」を計算してみます。
前項で求めた『1時間あたりの賃金(割増賃金算定基礎額)』をベースにして、50%の法定割増賃金率を計算すると、割増賃金は以下の通りです。
■時間外労働(時間外労働が1ヶ月60時間を超えたとき)の割増賃金
1時間あたりの賃金1,296円×割増率1.50= 割増賃金1,944円 |
同じ給与例における、その他割増賃金の計算結果はこちらにまとめましたので、
あわせて参考にしてください。
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