意見聴取|派遣可能期間の延長で派遣先企業が行う手続きとは
派遣先企業が派遣社員を受け入れられる期間は、原則3年まで。しかし、もう少し派遣社員に勤めてもらいたいケースもあるでしょう。
お伝えした通り、人材派遣の利用には期間の制限がありますが、条件が揃えばもう3年ほど派遣社員に勤務してもらえます。
その条件の一つが「意見聴取」。意見聴取の概要と実際の派遣期間を延長する手続きで求められる詳細を説明しますので、参考にしてください。
目次
派遣期間制限(3年ルール)についておさらい
厚生労働省では、労働者が安心・安定して働ける社会を目指し、働き方改革を推進しています。
そのため労働者派遣法では、長期にわたり労働者が派遣雇用になることを推奨していません。
派遣期間制限(通称3年ルール)とは、労働者派遣法の一つで、派遣先企業に対し派遣社員の受け入れ期間に制限を設けるもの。「同一事業所において3年を超え、継続して同一の労働者を派遣受け入れできない」ことを定めています。
派遣期間制限には、事業所単位と個人単位の2種類があり、それぞれ派遣社員が働ける最終日(派遣の抵触日)が異なります。
◆派遣法の3年ルールをわかりやすく解説|派遣社員が延長して働くには
事業所単位
ここで言う「事業所単位」とは、派遣先企業が人材派遣を利用する期間に制限を定めたもの。派遣先企業の派遣受け入れは、同一事業所で3年まで認められています。
個人単位
ここで言う「個人単位」とは、労働者が人材派遣を利用する期間に制限を定めたもの。
派遣労働者は、派遣先事業所の同一組織単位において3年まで勤務できます。
なお、事業所単位と個人単位の抵触日が競合したときは、事業所単位が優先されます。
期間制限の対象外
労働者派遣法の派遣期間に縛りのない、5つのイレギュラーなケースを紹介しますので、こちらも参考にしてください。
1. 無期雇用の派遣労働者
2. 60歳以上の派遣労働者
3. 日数が限定される業務
4. 産休や介護のための代替業務
5. 有期でプロジェクトや開発に携わる場合
意見聴取手続きとは
先述した通り、人材派遣の基本的なルールとして、派遣先企業は人材派遣の利用開始から3年ほどで派遣社員を受け入れられなくなります。
ただし、派遣先企業が希望する場合に「意見聴取」を行えば、派遣可能期間を延ばすことができます。
◆「派遣の抵触日」を延長する手続きを確認!事業所単位の派遣可能期間について
意見聴取の時期
意見聴取を行う時期は、事業所単位(派遣先企業側)の抵触日1カ月前まで。
例えば抵触日が2023年4月1日であれば、2023年3月1日までに意見聴取の手続きを終了させます。
意見聴取先
意見聴取先は、派遣先企業の事業所の過半数労働組合になりますが、労働組合がないときは、過半数労働者代表から聴取します。
意見聴取の通知方法
過半数労働組合や過半数代表者に、次の事項を書面通知します。
- 派遣社員を受け入れる事業所・派遣社員の就業場所
- 派遣受け入れで延長しようとする期間
意見聴取手続きの流れ
意見聴取手続きの流れは、次の通りです。
過半数代表者の選出と意見聴取
意見聴取は、過半数労働組合もしくは過半数労働者代表が行います。
また複数の事業所がある場合は、事業所ごとに意見聴取が必要です。
過半数労働組合
過半数労働組合とは、事業所に就業しているパートやアルバイトなども含む、すべての労働者の過半数で組織する組合を指します。
過半数代表者
過半数労働者代表は、すべての労働者の過半数を代表します。
意見聴取の過半数代表者は、労働基準法規定の管理監督者以外で、意見聴取目的で選出された者と条件付けられています。
意見聴取で反対意見への説明
意見聴取で過半数労働組合などから反対意見が出た場合には、事業所単位の抵触日の前日までに事業所の意向を再び説明します。
説明事項は次の内容です。
- 派遣社員の受け入れを延長する期間と理由
- 過半数労働組合などの異議への対応に関する方針
意見聴取の記録と保管
派遣社員の受け入れ延長を決定した後の、意見聴取の記録・保管は以下の通りです。
意見聴取の記録項目
- 意見聴取した過半数労働組合の名称もしくは過半数労働者代表者の氏名
- 通知事項・通知日
- 意見聴取した日・当該意見の内容
- 過半数労働組合などに説明した内容
- 聴取後に派遣受け入れ期間を変更した場合は、その変更した期間
意見聴取の保管
意見聴取の記録を書面に記載した後は、事業所単位の抵触日から3年間、当該書類の保管義務があります。
意見聴取記録の周知
意見聴取の記録は、事業所内の従業員に以下の方法で周知します。
- 各事業所内の掲示板など見やすい場所を利用し掲示する
- 各事業所で閲覧用の機器を設置し、意見聴取記録の電子ファイルなどを事業所で働く従業員が常時確認できるようにする
意見聴取の注意点
意見聴取の手続きでは、以下のポイントを押さえましょう。
- 意見聴取:複数の営業所などがあった場合には、各営業所で意見聴取する
- 過半数代表者の選定方法:労働基準法規定の管理監督者以外の者で、投票などで選出されることが必須条件
抵触日の通知義務
派遣の抵触日には通知義務があり、抵触日に至る前に派遣元企業へ知らせなければなりません。事業所単位の抵触日を過ぎてしまうと、派遣可能期間は延長できなくなるため注意してください。
また意見聴取後、派遣社員の受け入れ延長が決定した場合も、派遣先企業は派遣元企業に「新たな事業所単位の抵触日」を通知します。
◆派遣の抵触日とは?派遣先企業が知るべき抵触日の通知義務について解説! | 派遣管理システム グッジョブ
派遣社員を受け入れる派遣先企業の抵触日の管理について
派遣先企業では、派遣の抵触日を管理するわけですが、3年ルールには事業所単位・個人単位と複雑な条件があり、派遣社員それぞれの抵触日を管理・通知するのは大変な労力でしょう。
また派遣社員の抵触日や派遣期間制限は、決められた日を過ぎると取り返しのつかなくなるケースもあります。
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