グッジョブコラム 2023.11.15

派遣社員がすぐ辞める理由―定着率を上げる方法―

1.はじめに

「派遣社員がすぐに辞めてしまう」
「派遣社員が辞める理由って、どんな理由が多いのだろう」
皆さんも、そんな疑問やお悩みはありませんか?
彼らはどんな理由で辞めてしまうのでしょうか。
辞める理由を知り、事前に対処しておけば無意味な離職を防ぐことができます。
この記事では、派遣スタッフがすぐに辞めてしまう理由や離職率が高い職場の特徴、派遣先企業として気をつけるべきことについてご説明します。

2.派遣社員が早期離職する理由と対策

派遣社員が早期離職する職場の特徴として、例えば以下のようなものがあります。

  • 決まった仕事がなく流動的に何でも任される
  • ルーティンワークばかりでやりがいがない
  • 忙しすぎて残業が多い
  • セクハラまたはパワハラがある
  • 教育体制が不十分
  • 不衛生などの劣悪な職場環境
  • 派遣先指導者と合わない
  • 交通に不便な職場で改善の見込みがない

当てはまるものが多ければ多いほど、職場の環境そのものが早期離職の原因を作り出していると疑ってみる必要があるでしょう。これら以外にもよく取り上げられる例について、具体的に見ていきましょう。

待遇面での不満

一般的に、正社員と比較すると派遣スタッフは年収が低くなる傾向にあり、給与や待遇面に悩みを感じる人は少なくありません。待遇面で不満が生じる原因としては、昇給・賞与・交通費の支給がないことなどが挙げられます。これらは派遣制度自体の問題で、現在は「同一労働同一賃金」により、待遇格差を解消するための制度も新たに設けられているので、将来的に改善の余地があります。
他にも、契約更新時に給料が上がる派遣社員もいれば現状維持の派遣社員もいるように、本人の能力によって待遇差が出る場合があります。勤務態度に問題がないにも関わらず、正当に評価されずに給料や待遇が改善されなければ早期離職につながります。特に、以前在籍していた職場で給料アップの経験がある派遣社員は、現在の職場を見限って辞めるリスクが高くなるので注意が必要です。

対策
派遣社員の待遇面の検証を行う際に、最も客観的かつ公平に処遇改善やキャリア支援を行うよりどころとして、評価制度の導入が欠かせません。
グッジョブでは、厚生労働省作成の「派遣労働者の待遇改善に向けた対応マニュアル」に基づき、評価機能を導入しています。グッジョブの関連機能「スタッフ評価機能」では、派遣先企業でテーブルや評価項目・実施時期などを細かく設定でき、評価結果を派遣元企業に通知・共有できます。
派遣先が派遣社員を評価するにあたっては「評価に基づいて適切に評価をすること」に留意しなければなりません。適切な評価ができていれば派遣社員のモチベーションアップや生産性の向上、能力の高い人材の確保につながります。
上記のスタッフ評価機能について詳しく知りたい方は、ぜひこちらからお問い合わせください。

業務内容のミスマッチ

いざ業務を開始してみると「仕事内容が自分に合わなかった」「想像していた職場環境と違った」などの本人の主観によるミスマッチから、「職場見学時の説明と実際の業務内容が違った」「求人票と業務内容が違った」「募集要項に書いていなかったことも頼まれる」といった雇用側の落ち度や配慮不足など、さまざまな理由で早期離職につながる要因があります。これらは、募集時点で業務や環境について明文化しておくことや雇い入れ後のフォローにより防げるものです。

対策
派遣先企業としては、募集時点で業務内容の明記に留意し、雇い入れた後も指導者をつけて、派遣スタッフが安心して業務を遂行できるよう見守りましょう。
特に募集要項については「仕事内容は変化しているものの、募集要項は同じ文面を使い回している」というケースが少なからずありますので、今一度、要項にある情報と業務内容にズレがないか確認することをおすすめします。

職場にうまく馴染めなかった

業務に取り組む上で、職場の人間関係や環境は極めて重要です。うまく職場に馴染めなければ、強いストレスを感じて早期に退職するケースは多く見られます。例えば「周囲から冷たい態度を取られる」「同僚や上司などで合わない人がいる」「社員同士の会話が少なく仲良くなれない」など、人間関係で感じやすいストレスは、派遣社員のみならず組織全体の問題です。
正社員ではない立場として働くことで、疎外感や不安感を抱く派遣社員は珍しくありません。人間関係をストレスに感じやすいのは正社員も同様ですが、派遣社員は特につらさを感じやすい立場と言えるでしょう。

対策
職場に馴染めず早期退職する派遣社員が多い場合は、雇用形態や所属、立場に関係なく話しやすい・相談しやすい環境を整えましょう。相談された結果として適切な対処ができれば、派遣社員の離職を防ぎやすくなります。また、対処を行うことが難しい場合でも「誰かに悩みを吐露できただけで心が楽になった」「相談できる相手が社内にいるだけで安心して出社できる」というケースはよくあります。
また、受け入れマニュアルを作成することも有効です。派遣社員の受け入れマニュアルを事前に作成することで、派遣社員が職場に馴染むための準備を行いやすくなります。「ストレスや疎外感を抱きやすい立場である派遣社員がうまく職場に馴染むためには、どのような体制を整えておくべきか」という視点でマニュアルをまとめていくと、派遣社員だけでなく会社全体の環境改善につながります。

スキル不足を感じた

思っていたよりもハイレベルのことが求められてしまい、仕事についていけないことも退職を早める要因になります。求人募集の段階では比較的安易な仕事内容に見えても、いざ就業してみるとスキル不足を感じてしまうといった声も聞かれます。特に、求人でよく見かける「未経験者歓迎」といった類いのものは、ギャップを感じさせやすいようです。

対策
過度な求人広告の見せ方は、結果的にミスマッチを生むことにもなり兼ねないため注意が必要です。募集要項には仕事内容を詳細に記載するといいでしょう。また、業務内容のミスマッチにもつながりやすい項目なので、見学会で仕事内容を見たり体験してもらったりするなど、自身のスキルに見合った仕事内容かどうか、事前に確認してもらうことが大切です。

正社員ほど責任感を抱かない

全ての派遣スタッフに該当する訳ではありませんが、派遣という労働形態は働き方や場所・時間を自由に選べるというメリットがあります。その自由度に比例して、いざ働き出したときにその環境が自分に合っていないなどと感じた場合、早期の離職を検討しやすい状況であると言えます。派遣社員と正社員とで責任の比重が違うように、合わないと感じたらすぐに離職などのアクションを起こせるのも派遣ならではのスタイルなのです。
派遣社員の中には正社員ほど責任感を持っていない人が一定数、存在することも事実です。派遣先企業で働き始めてすぐの期間は、職場に対する愛着も少ないケースが多いため、退職することへの抵抗がより少ないことも想定されます。また、すぐに辞めてしまっても派遣会社が間を取り持ってくれることから、本人が責任を感じにくいという点も離職を助長してしまう一因となります。

対策
労働形態や立場の差異によるものだけでなく、派遣社員は正社員よりも仕事がルーティン化しやすいため、責任感を持って仕事をしにくい傾向にあります。責任感を与えるには、スキルアップの機会を提供するといいでしょう。新たなスキルが身に付けば、仕事にやりがいが生まれ、責任感を持って仕事に取り組んでもらえる可能性も高まります。また、定期的な研修の実施やコミュニケーションを取る機会を持つことも、安易な離職を防ぐ大事な要素となります。

3.まとめ

派遣スタッフが職場に定着しないことは、その業務が滞るだけでなく、当該スタッフが抜けた分の業務を補うために関係各所の負担が増えるなど、会社経営そのものに悪影響を及ぼしかねません。
派遣スタッフを長く定着させるには、離職理由に応じた適切な対応と、同じような内容による離職が続かないよう職場環境や待遇面、業務内容を見直していく必要があります。
特に仕事の悩みとして待遇面の悩みは大きく、早期離職へとつながるケースが多いため、派遣社員に対する公平な評価制度の導入は重要です。
上記のスタッフ評価機能について詳しく知りたい方は、ぜひこちらからお問い合わせください。