グッジョブコラム 2023.06.14

労働局需給調整事業部による派遣先企業への定期指導

派遣元企業へは、3年から5年に一度「労働局需給調整事業部による定期指導」が行われると言われています。
これに関連して、弊社では派遣先企業様から「労働局から定期指導があった」「労働局の調査が増えた」とご相談をいただくことがございます。
ご指摘の通り、労働局の定期指導は、派遣社員を受け入れる派遣先企業様においても例外ではありません。
労働者がより働きやすい社会を目指し、労働局は派遣先企業側へも、派遣社員の就業状況・実態把握として定期的な調査・指導を実施しているのです。
 
ここからは、労働局による派遣先企業への定期指導の流れや内容・処罰についてお伝えします。

労働局需給調整事業部による定期指導について

厚生労働省は労働者の権利や待遇を守るべく、常に法改正を重ねています。
派遣労働者を守る「労働者派遣法」もそのひとつです。
 
この労働者派遣法では、「派遣社員であっても、正社員と同じ労働については同一の賃金を支払うべき」としています。
しかし実際のところ、派遣元企業・派遣先企業各社が厚生労働省の思惑通り法令を順守し、派遣社員の権利と待遇を守っているかはわかりません。
そこで厚生労働省は、労働局需給調整事業部を設置し、派遣元企業や派遣先企業を定期的に調査・指導することとしたわけです。

労働局需給調整課の役割

先にも少し触れましたが、労働局需給調整事業部は派遣労働者の雇用を安定させることや、直接雇用社員との待遇格差を解消させることを目指しています。
そのため、定期的に派遣元企業や派遣先企業を訪問し、改正時の法や制度について周知・指導しているのです。
また労働局需給調整指導官は、派遣先管理台帳や派遣契約に関する書類などを確認し、派遣労働者からの相談や苦情を把握するとともに、是正すべき事柄が発覚した場合には迅速に対応・指導する役割を担います。

定期指導の内容・流れ

定期指導の実施に際しては、労働局から派遣元企業へ事前連絡があり、日程を調整した上で労働者の派遣先事業名・業務内容・派遣社員数などが調査されます。
また派遣先企業の場合にも必要があれば、労働局から定期指導についての連絡が入り、派遣社員に対する就業状況・派遣先管理台帳などの確認が行われることとなります。

定期指導の基本的な流れは以下の通りですが、派遣元企業と派遣先企業では求められる書類や調査内容が異なります。

  • 定期指導の事前調査票と調査対象の書類の準備
  • 労働局から調査を受け、改善する項目があれば是正指示を受ける
  • 指導内容を改善し「是正報告書」を提出

詳しい指導の流れや調査で求められる書類などについては、こちらのコラムで紹介していますので併せてお読みください。

派遣先企業に対する「労働局の調査」が増加?調査実態と指導内容 
 

指導監督の対象に選ばれたときの対応など

労働局の指導監督から指導対象に選ばれたときは、指導内容により対応方法が異なります。
ここでは、指導監督の種類・指導から処分までの各段階・行政処分(3種類)についてお伝えします。

指導監督の種類

労働局の指導監督には、定期的に行われる「定期指導」と「労働者の申告(告発)における指導」「労災についての指導」があり、以下の通り調査の内容も目的も変わるため注意してください。

  • 定期指導:定期指導とは、労働局の行政運営方針と年間計画により定期的に実施されるもので、企業が「同一労働同一賃金」「派遣均等法方式」など、労働法に沿った事業活動を行えているか調査・指導するもの
  • 労働者の申告(告発)における指導:派遣社員から労働局に対し、待遇格差や賃金引き下げ・未払い、セクハラ行為といった相談や苦情などの申告があった場合、企業に行われる指導
  • 労災についての指導:労災が生じた場合は、労働局と労働基準監督署が合同調査し、派遣元企業と派遣先企業へ原因究明を求め、対処・再発防止などを指導するもの

指導から処分までの各段階

労働局の指導調査内容で不備があった場合には、改善するよう指導が行われます。
 
最初は「助言」程度ですが、是正の項目が多いと「是正指導書」が発行されます。
こうなると、是正指導書をもとに改善を行い、労働局に「是正報告書」を提出しなければなりません。
 
指導から処分までの各段階は、次の通りです。
助言:口頭指導
指導票:改善要求の書面発行(1項目につき1枚発行)
是正指導票:違反項目の是正を指導する書面で、期限内(ほぼ1カ月)に是正報告書の提出義務がある
是正勧告書:是正指導書を複数回受けても改善されない場合に発行

行政処分(3種類)

行政指導の処罰は3通りで、いずれも企業名が公表されます。

  • 事業改善命令:報告書や立ち入り検査により、事業について改善の必要があると判断された場合に該当
  • 事業停止命令:期間限定で事業を停止(停止期間中、新規雇用契約や派遣労働者の更新は不可)
  • 事業停止命令・事業許可取消:事業停止命令後、指定期間内は事業停止(悪質と思われる法令違反の場合には、事業の廃止・廃業の可能性あり)
  • 事業の廃止・廃業:旧特定労働者派遣事業
  • 許可の取消:旧一般労働者派遣事業
  • 補足:労働者派遣事業の区分について

過去、人材派遣において扱われていた特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区分は、すでに廃止されています。
現在人材派遣を行う事業者は「労働者派遣事業」としての許可申請が必要です。

「グッジョブ」で労働局の調査・指導にいつでも対応できる仕組みを!

労働局需給調整事業部による定期指導は、数年に一度派遣元企業に対して実施されるものですが、派遣先企業へも必要に応じた当該定期指導があり、派遣社員の業務内容や勤怠管理などが調査されます。
派遣先企業様におかれましては、労働局の調査・指導にいつでも応じられるよう、派遣契約に関わる書類や派遣人材の労働時間などをしっかりと管理できる仕組み・体制づくりができるとよいでしょう。
 
弊社では、派遣人材の情報管理から労働局需給調整課への対応まで、皆様の問題解決に役立つ人材派遣管理システム「グッジョブ」を用意しております。
 
ぜひ一度こちらのリンクをお読みいただき、派遣先企業様の人事管理に関する負担を軽減できる弊社システムの導入をご検討ください。

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