労働基準監督署の調査に違反したときの罰則と対応|労働基準法
労働形態の多様化や働き方改革などで人材不足の現代、労働者と企業間のトラブルは年々増加しています。
時には、サービス残業・賃金不払い・不当解雇などが問題になることもあるでしょう。
そのため人材派遣においては、労働基準監督署(労働局)が定期的に調査を行い、派遣社員が適切な待遇・環境で働けているかを確かめているわけです。
気をつけているつもりでも、万が一にも違反があり、世間から悪質な企業と印象付けられては大変です。
今回は、労働基準監督署の調査に違反したときの罰則と対応について確認していきます。
目次
労働基準法に違反したら派遣先企業はどうなるか
派遣先企業が労働基準法に違反した場合には、違反内容によりますが、罰則が設けられています。
改善や指導に従わない企業や経営者は、懲役刑等を科されることがあり、また厚生労働省から違反内容や企業名が公表されます。
「労働基準監督署(労働局)」の調査について
労働基準監督署は、労働者の雇用や賃金・健康・安全が確保されているかを調査します。
法律の名称で言うと、労働基準法や最低賃金法・労働安全衛生法などに違反がないかを確認し、問題があれば是正や指導を行うこととなります。
また、労働基準監督署の調査は拒否できません。
労働局の調査実態と指導の内容については、こちらのコラムも用意しておりますので、併せてお確かめください。
◆派遣先企業に対する「労働局の調査」が増加?調査実態と指導内容
労働局調査の流れと対応方法
労働基準監督署の調査は実施内容によって、定期監督・申告監督・災害時監督がありますが、いずれの指導を受けた場合にも、是正報告書を提出しなければなりません。
報告書が提出されなかったり、報告書の内容に改善が見られなかったりすると、再び調査(再監督)が入ります。
- 定期監督:定期的に事業場所を選択し、労働基準監督署の立ち入り調査が行われます。
- 申告監督:社内関係者から賃金未払い・不当解雇等の内部告発が行われた場合の監督です。
- 災害時監督:労働中の怪我など、原因の究明調査や再発防止の対策を行うものです。
労働局調査に違反すると罰則!問題点と対応を確認
労働基準監督署が事業場所を訪問し、立ち入り調査を行った結果、違反や問題点が判明した場合は、是正勧告や改善指導が入ります。
いくつか違反・罰則のケースをまとめましたので、参考にしてください。
事業報告書に労使協定の添付がなかった
改正後の労働者派遣法では、労使協定を締結した派遣元企業は、事業報告書に労使協定を添付しなければなりません。
事業報告書に労使協定の添付がなかった場合、また事業報告書の必要事項に未報告・虚偽報告があった場合は、労働基準監督署の調査違反となり、30万以下の罰金が課せられます。
派遣先企業が一般労働者の情報提供をしない・派遣元企業が提供情報を3年保管しなかった
派遣社員の採用時「派遣先均等・均衡方式」を採用したときは、派遣先企業は派遣元企業へ一般労働者の情報提供をしなければなりません。
同じく派遣元企業は、派遣社員の派遣業務が終了しても、契約終了日から起算して3年が経過するまでは、派遣社員の情報提供書類を保管しなければなりません。
もし派遣先企業が情報を提供しなかったり、虚偽の情報を伝えたりすれば、派遣先企業は勧告を受ける、企業名を公表される等の罰則を受けます。
また派遣元企業が派遣社員の書類保管を怠ったときは、派遣元企業に改善命令・事業停止命令・許可の取り消しなど、厳しい罰則があります。
「不合理な待遇の禁止等」に違反した
派遣社員の採用にあたって「派遣先均等・均衡方式」を採用した場合、同一企業に在籍する直接雇用の社員と派遣社員の間に待遇差をつけてしまうと、「不合理な待遇の禁止等」に違反します。
これは労働基準法において、派遣社員の業務内容や配置等が直接雇用の社員と同じであれば、派遣社員の基本給や福利厚生等といった待遇に差をつけてはならないと定めているからです。
「不合理な待遇の禁止等」に違反したときの罰則は、改善命令・事業停止命令・許可の取り消しです。
派遣社員の待遇について説明を怠った
派遣社員の採用時・派遣時には、派遣社員に対し「待遇に関する説明」をしなければなりません。
派遣社員への説明事項としては、賃金・休憩・昇給の有無など、契約内容や派遣先企業での福利厚生等といった内容も含まれます。
派遣社員の待遇について説明を怠ると、改善命令・事業停止命令・許可の取り消しの罰則があります。
労働局への相談により派遣社員を不利益に扱った
派遣社員・派遣元企業間において、生じたトラブルを話し合いで解決できないこともあるでしょう。
紛争を解決できないことで、派遣社員が労働局へ相談したとして、これを理由に派遣社員が派遣元企業から不利益な扱いを受けた場合も、労働局調査に違反する恐れがあります。
具体的にはその後の労働局の確認で、「派遣社員の不利益な扱いが事実である」と判断されたときは、派遣元企業に指導が入ります。
更に指導後の改善が見られない場合には、改善命令・事業停止命令・許可の取り消しなどの罰則が課せられます。
人材情報はシステム化!グッジョブなら万一のトラブルを回避できます
労働基準監督署の調査が入った後、企業の対応が悪質だと判断されてしまえば、厳しい罰則が課せられるだけでなく、企業のイメージダウンにもなってしまうでしょう。
企業の信用問題が生じないよう、また漏れなく法令を順守する手段の一つとして、人材情報はシステム上で適切に管理することをお勧めします。
企業の皆様にとってデジタル化・システム化には、不慣れで導入しにくい印象があるかもしれません。
しかし弊社の人材派遣管理システム「グッジョブ」では、頻繁に改正される労働基準法に都度対応する安心の機能を有しておりますので、多くの雇用に対するトラブルを回避することができます。
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