グッジョブコラム 2023.03.03

「36協定」について確認!派遣労働者の残業時間に関わる法規定

2020年4月以降、働き方改革の関連法が施行され、派遣労働者は働きやすい環境を得ることができました。

一方の派遣先企業では、派遣社員に過度な残業をさせないよう労働時間を適切に管理しながら、生産性を保てるよう人材も確保しなければなりません。

これらの課題に慎重に取り組むことができるよう、本記事では、働き方改革関連法の1つである労働基準法「36協定」についてお伝えします。

36協定とは

「36協定」とは、労働者と使用者の間で結ぶ、時間外・休日労働に関する協定のことです。

労働基準法第36条に基づいた内容であるため、この名を取ってサブロク協定と呼びます。

また労働基準法では、法定労働時間を「1日8時間・1週40時間・休日週1回」と定めており、労働者に法定時間労働を超える時間外労働(残業)を依頼する際には届け出が必要です。

労働基準監督署へ「時間外・休日労働に関する協定届」を提出することで、時間外労働が認められることとなります。

36協定は「派遣社員」と「派遣元企業」が締結する

派遣先企業は、派遣社員へ時間外労働を依頼したい場合、初めに派遣社員・派遣元企業間で36協定を締結しているかを確認します。

派遣元企業と派遣社員の取り交わす「雇用契約書」「労働条件通知書」において、時間外労働に関する記載がないときは、時間外労働を命じることはできません。

36協定に違反すると「派遣先企業」に罰則がある

働き方改革による法改正で、36協定は法的拘束力を持ちました。

派遣元で36協定を締結せずに、労働者へ時間外労働をさせた場合、次の罰則が課せられます。

罰則の対象は派遣先企業となりますので注意が必要です。

  • 6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金

残業時間の上限は「月45時間・年間360時間」

36協定を結んでいれば、派遣社員は法定労働時間を超え、「月45時間・年間360時間以内」を上限に、残業が可能となります。

ただし、どうしても残業時間の上限を超えてしまう繁忙期などには、「特別条項付き36協定」を締結することで「月100時間・年間720時間以内」を上限として、例外的な時間外労働が許されます。

残業時間・残業管理に関しては、こちらの記事で詳しく説明していますので、こちらのリンクも参考にしてください。

働き方改革による「残業管理」の影響は?残業時間(36協定)を適切に管理するために

派遣社員に残業・休日出勤してもらうには

派遣社員に残業・休日出勤してもらうためのポイントをまとめましたので、こちらも確認してください。

派遣先企業はあらかじめ派遣元企業へ相談すること

基本的なこととして、派遣先企業から派遣社員へ時間外労働を指示することはできません。

派遣社員と派遣元企業が36協定を締結していれば、派遣先企業は36協定で定められた時間内で、派遣社員に残業を依頼できます。

そのため派遣先企業は、派遣社員に対して時間外労働を依頼する可能性があるか、社内や部署で十分な確認を取った上で、あらかじめ派遣元企業へ相談しましょう。

就業条件明示書に条件を明示する必要がある               

派遣社員は、時間外労働や休日勤務に関し、「就業条件明示書」に労働条件を明示する必要があります。

就業条件明示書は、一般社員の労働条件通知書と同等に扱われている書類で、就業場所・業務内容・就業時間・休憩時間などを明記するものです。

この書類に明示した36協定の内容により、時間外労働や休日勤務が可能となります。

派遣社員は、あわせて派遣先企業の繁忙期などを把握しておくとよいでしょう。

派遣社員・派遣先企業の注意点

36協定に関し、派遣元企業・派遣先企業それぞれで、残業時間に対する規定上限の異なる場合があります。

しかしどのようなケースでも、派遣社員と36協定を締結しているのは派遣元企業ですから、派遣社員と派遣元企業間で取り決めた労働時間を超えて残業させてはなりません。

36協定に違反すると、前述した通り派遣先企業が罰則を受けることになります。

派遣社員の視点でも、周りの社員等と同じ労働条件だろうとは思い込まず、必ず派遣元企業へ自身の契約・協定内容を確認するようにしましょう。

派遣社員の残業・労働時間は就業条件を適切に確認すること 

派遣社員の労働環境を守る意味でも、36協定は適切に守らねばなりません。

しかしそれ以前に、時間外労働・休日労働・深夜労働などに対しては、適正な賃金として派遣社員へ残業代(割り増し賃金)が支払われるため、派遣元企業・派遣先企業は派遣社員の労働時間をしっかりと把握し、管理する必要があります。

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