「派遣の抵触日」を延長する手続きを確認!事業所単位の派遣可能期間について
労働者派遣法では「派遣の抵触日」が定められており、同じ派遣社員を同じ部署で勤務してもらえるのは、基本的に3年までとなっています。
しかし例外的に3年のルールを超え、派遣社員に継続して勤務してもらえるケースがあります。
本記事では「派遣の抵触日」を延長したいとき、派遣先企業がどのように対応すればよいかを説明します
目次
「派遣の抵触日」を延長したいときの手続き
派遣社員の受け入れは、あくまで一次的な人員不足の解消を目指すもの。
状況によっては、派遣社員に3年を超えて仕事をしてもらいたいと考える場合もあるでしょう。
今回は派遣の抵触日と、抵触日の延長に必要な手続きについて具体的手順をご紹介します。
派遣の抵触日は2種類!「事業所単位」の派遣なら抵触日を延長できる
まずは前提として、派遣の抵触日には事業所単位・個人単位の2種類があります。このうち「事業所単位」の場合、派遣先企業が希望すれば、抵触日延長の手続きが可能です。手続きが通れば、さらに3年が上限となりますが、同派遣社員の雇用期間を延長できます。
派遣の抵触日の事例と通知義務
仮に派遣先企業が、「2018年4月1日」に派遣社員を雇い入れた場合、派遣の抵触日は3年後の同日「2021年4月1日」となります。
■「派遣の抵触日」の例
上記の例のように、派遣社員を受け入れる派遣先企業には、派遣元企業に対して派遣の抵触日を通知する義務があります。
詳しくはこちらの記事を参照ください。
◆派遣の抵触日とは?派遣先企業が知るべき抵触日の通知義務について解説! | ハケンマネジメントクラウド グッジョブ
「派遣の抵触日」を延長するには「意見聴取」が必要
派遣の抵触日を延長したいとき、派遣先企業は「意見聴取」を行う必要があります。
ここでは「意見聴取」の詳細を説明します。
1.まずは意見聴取先を選ぶこと
派遣先企業は、当該派遣社員が派遣の抵触日を迎える1か月前までに、次のいずれかから、意見聴取先を選んでください。
- 事業所の過半数の労働組合
- 過半数の代表者(労働組合がない場合)
なお、事業所に支店などがある場合、本店で手続きをまとめることはできません。
各支店で意見を聴取しなければならない点に注意しましょう。
また期間の延長には限度がないため、手続きを繰り返せば何度でも派遣社員を雇用することができます。
2. 意見聴取に必要な「参考資料」を作成しておく
意見聴取先が派遣社員の抵触日を延長するか検討するためには、「意見聴取の参考資料」が必要です。
書面のフォーマットは特にないため、以下について、具体的にまとめると良いでしょう。
- 派遣受け入れ開始からの派遣社員数
- 派遣先の無期雇用労働者数の推移など
3. 派遣期間延長について「意見聴取の通知書」を作成・通知する
意見聴取先へ以下の書面・書類を送り、意見聴取を行います。
- 意見聴取の通知書
- 意見聴取の参考資料(前項「2.」)
意見聴取の通知書には、次の2点を記載してください。
- 派遣期間を延長しようとする事業所
- 延長しようとする期間
労働組合から異議があれば延長理由の十分な説明が必要
意見聴取の通知後、前述した意見聴取先(事業所の過半数の労働組合や、過半数の代表者)から異議のあった場合は、抵触日の延長について、異議に対する説明をしなければなりません。
具体的には派遣の抵触日に至る前に、派遣先企業から意見聴取先へ、以下の内容を説明します。
- 延長しようとする期間およびその理由
- 異議への対応方針や意見
派遣先企業においては、労働組合等から異議を申し立てられる可能性も考慮し、派遣の抵触日までの期日に余裕をもって手続きすることをおすすめします。
4. 記録の保管と周知
派遣先企業は、派遣社員の派遣期間を延長する場合、意見聴取の結果を書面で保管する必要があります。
保管期間は派遣の抵触日から3年間で、派遣社員に周知しなければなりません。
書類にまとめる内容は以下を参考にしてください。
- 意見聴取先の労働組合の名称、又は過半数代表者の氏名
- 書面通知の日付・通知事項
- 意見聴取の日付・意見の内容
- 変更があった際は変更後の延長期間
- 意見聴取に異議があった場合は、説明した日付・内容
5. 派遣元企業へ通知する
派遣元企業は、抵触日の延長に関する通知を受けることで、延長後の派遣契約を締結できるようになります。
派遣社員の受け入れを延長できることになり次第、派遣先企業は速やかに、派遣元企業へ結果を通知してください。
社員情報のシステム化で「派遣の抵触日」にも間違いのない対応を!
派遣社員の受け入れについて、当初は3年までの派遣期間で……。と考えていたつもりでも、派遣社員が優秀で、当該社員が重要なプロジェクトの一員になっているような場合もあるでしょう。
先に説明した通り、このようなケースでも、例外・限定的内容ながら、派遣社員の派遣期間を延長することができます。
ただし派遣社員の派遣期間延長を検討する前に、派遣の抵触日まで余裕がない場合や、万が一派遣の抵触日を過ぎてしまうようなミスが発生する可能性もあります。
とくに派遣先企業としては、書類でトラブルが発生しないよう、労働者派遣法に則って、適切に人事管理を行っていく体制が求められるでしょう。
弊社では、派遣社員の契約管理を含め、社内の人材情報を適切に管理・通知することができるシステム「グッジョブ」を提供しております。
グッジョブを導入していただければ、派遣元企業・派遣先企業間での契約・労働情報の共有・管理を徹底できます。
ぜひこちらのページをお確かめの上、派遣人材管理システム「グッジョブ」のご利用をご検討ください!
◆人材派遣管理システム「グッジョブ」