派遣社員の「教育訓練」義務化!実施の内容や手順を解説
以前の労働者派遣法では、教育訓練はあくまでも配慮すべきものとされていました。
しかし現在、教育訓練は義務とされています。
弊社では派遣元企業様・派遣先企業様から、派遣社員の教育をどのように行うべきかご相談いただくこともあります。
今回はこの教育訓練について解説します。
目次
【2020年派遣法改正】派遣先企業の「教育訓練」が義務化!
厚生労働省はたびたび労働者派遣法を見直しています。
近年では直接雇用の社員と派遣社員の待遇差を減らすため、労働者派遣法を大きく改正しました。
これまで派遣労働者のスキルアップ・キャリアアップを求め、配慮義務となっていた「教育訓練」も、2020年以降は義務となります。
教育訓練とは
教育訓練は本来、雇用主である派遣元企業が行うべきものです。
ただし派遣社員は派遣先企業で業務を行うことから、派遣先企業の協力の元、直接雇用の社員と同じく教育訓練を実施する必要があるでしょう。
労働者派遣法において、定められている教育訓練の要件をまとめました。
- 全ての派遣労働者が対象
- 有給・無償で行われること
- キャリアアップに資する教育訓練であること
- 雇用に必要な教育訓練(入職時の教育訓練)を含むこと
- 無期雇用の派遣労働者に対しては、長期的なキャリア形成を念頭に置いた教育訓練を実施すること
教育訓練のポイント
教育訓練に際し、忘れてはならないポイントがあります。
こちらの内容も確認してください。
教育訓練に必要な時間
教育訓練には、次の通り時間の定めがあります。
- 入社して3年間
- フルタイムで週40時間勤務する場合、年8時間以上
時短勤務のケースでは、最低でも上記に比例する教育訓練の時間を設けなければなりません。
派遣社員の受け入れ時、教育訓練の内容を説明する
2021年に改定された労働者派遣法では、派遣社員へ教育訓練の内容を説明するよう定められています。
派遣社員の同意も必要なため、教育訓練の詳細をまとめておき、派遣社員の受け入れ時には周知しましょう。
教育訓練の実施履歴を「派遣先管理台帳」に記載する
教育訓練を実施したときは、「派遣先管理台帳」に履歴を記載しなければなりません。
派遣先管理台帳は、派遣先企業が派遣社員を受け入れる場合に必要な書類のひとつです。
派遣先管理台帳の作成・保管・通知が正しく行われない場合、「30万円以下の罰金」が科せられることがあります。
当サイトでは、派遣先管理台帳についても解説していますので、こちらの記事も一緒にご覧ください。
◆派遣先管理台帳の作成・保管・通知方法を解説!フォーマットもご紹介
派遣先企業の「教育訓練」導入手順・実施方法
教育訓練の導入方法は様々ですが、一般的な内容としては、集合研修・OJT・eラーニング等が挙げられるでしょう。
ここでは教育訓練の導入手順から説明します。
教育訓練の導入手順
まずは教育訓練の導入手順について、以下に具体例をお伝えします。
- 業務内容を整理する
- 業務における課題・問題点を確認する
- 目標を設定する
- 教育訓練の計画を立てる
- 業務内容に合わせ、集合研修・OJT・eラーニング等を実施する
基本的には派遣社員へどのような業務を行わせるかを整理し、且つ課題・問題点をひとつずつ無くしていくという考え方になります。
長期的な教育訓練の計画を立て、ときには派遣社員の学習レベルに寄り添って、教育を進められるとよいでしょう。
実施方法①集合研修
「集合研修」とは、授業や講義のように受講者を集めて教育するものです。
まとまった人数を一度に教育できる、質疑応答で素早く疑問を解決できるといったメリットがあります。
後の業務に向けて、実際の機材を確認してもらう必要がある場合や、業務上使用する機器等で複雑な操作が必要な場合に適しているでしょう。最近ではオンラインミーティングアプリ「ZOOM」などを利用して、オンラインで集合研修をするケースもあります。
実施方法②OJT
「OJT」とはOn the Job Training(オンザジョブトレーニング)の略で、実際の仕事を行いながら、技術・能力を身に付ける教育のことです。
派遣先企業で必要なスキルを習得している者がOJT担当者になります。
OJTでは派遣先企業の業務において実践的なスキルを身に着けられる上、派遣先企業に直接雇用されている社員と派遣社員の間で、コミュニケーションを深めるきっかけにもなるでしょう。
実施方法③eラーニング(オンライン学習)
「eラーニング(electronic learning)」とは、パソコン・タブレット・スマートフォンなどを用いて行うオンライン学習のことです。
インターネット上に用意されたテキスト・動画形式の学習コンテンツを利用し、スキルを身に着けます。
実際の体験が必要なシーンには向きませんが、一度作成した学習コンテンツは幅広く使用できるため、教育に関するコストを抑えられます。
ただし、端末の操作に不慣れな人がいれば、サポートが必要なケースがあるかもしれません。
改正された労働者派遣法に合わせて適切な「教育訓練」を!
現在の労働者派遣法では、派遣社員に対して十分な教育訓練を実施することが求められています。
派遣先企業の業務内容や、受け入れる派遣社員の数に合わせながら、よりよい教育方法を採用したいところです。
弊社では、最適な人材派遣管理を行うシステム「グッジョブ」を提供しています。
グッジョブには掲示板機能があり、派遣社員へ向けて動画を投稿・周知することが可能です。
たとえば教育訓練を行いたい場合、動画の学習コンテンツを作成して、スマートフォン等で視聴させることもできるでしょう。
また先述のとおり、教育訓練の実施履歴は「派遣先管理台帳」に記載する必要がありますが、グッジョブでは派遣社員ごとの実施履歴を残すこともできます。
ぜひ「グッジョブ」をご利用いただき、教育訓練を含め、派遣社員の契約内容や勤怠など、派遣社員の管理情報一本化をご検討ください!